薬用石鹸について
薬用石鹸とは消毒殺菌剤入り石鹸
薬用石鹸と呼ばれるものには、下記の2種類があります。
- 肌の殺菌消毒を目的にしたもの(デオドラントソープ)
- 肌荒れの防止を目的にしたもの(メディカルソープ)
薬用ハンドソープに「固形」のものと、ポンプを押して使う「液体」のものがあるように、薬用石鹸は「固形」のもの以外に、「液体」(乳液状も含む)もあります。
薬事法上、一般の化粧石鹸は「化粧品」に該当しますが、機能的な表現ができる「薬用石鹸」は、「医薬部外品」に該当します。
薬用石鹸は、医薬・衛生用に用いるトリクロサン・トリクロカルバンなどの消毒殺菌剤を配合した石鹸ですので・・・
- 無添加の薬用石鹸
- ノンケミカルな薬用石鹸
というものは存在しないということになります。
「薬用石鹸」という名前がついてはいますが、脂肪酸ナトリウム主体の固形純石鹸、または脂肪酸カリウム主体の液体純石鹸などとは違い、合成洗剤に近い洗浄剤という意味合いが強いです。
薬用石鹸に含まれる代表的な抗菌効果のある成分は、トリクロカルバン(triclocarban)とトリクロサン(triclosan)ですが、トリクロカルバンは主に固形石けんに、トリクロサンは主に液体石けんに配合されています。
薬用石鹸で洗顔やシャンプーには注意
トリクロカルバン、トリクロサンといったものは、医療的に使われる強い消毒殺菌剤です。
市販レベルの薬用石鹸に含まれる量は少ないといいますが、それでも肌への刺激は強いのです。
薬用石鹸でニキビが治った、という人もいらっしゃるようですが、殺菌力が強いのは良いとしても、強過ぎるために肌や頭皮が
- つっぱるようになった
- ヒリヒリするようになった
- カサつくようになった
など、様々な肌トラブルが起こっている人も多いようです。
薬用石鹸による肌・頭皮トラブルの理由は、病原菌から皮膚を守っている皮膚常在菌を殺してしまっているからなのです。
肌を弱酸性に保ち、健康な肌作りに必要な皮膚常在菌を殺してしまうので肌が荒れてしまうのです。
薬用石鹸は、肌のバリア機能が弱っている敏感肌の人や、アトピー肌の人にとっては強い刺激になってしまう恐れがあるので使い方に注意が必要です。
殺菌効果の強すぎる薬用石鹸を使った洗顔やシャンプーには、くれぐれもご注意ください。
アメリカにおける薬用石鹸事情
日本では、トリクロサンやトリクロカルバンを含む石鹸は「薬用石鹸」に分類され、一定の濃度以上含まれていれば商品に「殺菌」や「消毒」をうたい、「医薬部外品」として販売することができますが・・・、アメリカの薬用石鹸事情はいささか違うようです。
薬用石鹸の効果の科学的証拠なし
2016年9月2日、米食品医薬品局(FDA)は、19種類の殺菌剤を含有する抗菌せっけんなどの販売を禁止すると発表した。
通常のせっけんと比べて優れた殺菌効果があるとは言えず、健康に悪影響を及ぼすリスクがあると警告している。
19種類の殺菌剤のうちトリクロサンとトリクロカルバンは抗菌効果をうたう固形せっけんや液体せっけんに広く使用されているが、免疫系に打撃を与える恐れがあるという。
2022/07/28